2019年12月28日土曜日

【労働時間】事業場外労働のみなし労働時間制の概要と適用要件

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発行:中川式賃金研究所 中川清徳  2019年12月28日号 VOL.4356
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誰だって、ほめられたい

(続きは編集後記で)

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【労働時間】事業場外労働のみなし労働時間制の概要と適用要件
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1.事業場外労働のみなし労働時間制の概要

みなし労働時間制とは、労働者の実労働時間にかかわらず、労働者が一定時
間労働したものとみなす制度をいう。
労働基準法(以下、労基法)は、事業場外労働および裁量労働(専門業務型
裁量労働・企画業務型裁量労働)について、みなし労働時間制を定めてい
る(労基法38条の2〜38条の4)。

これらのうち、事業場外労働のみなし労働時間制は、労働者が事業場外労働
に従事し、その労働時間の算定が困難である場合に、使用者による労働者の
労働時間を適切に把握・管理する義務を例外的に免除し、労働者が一定時間
労働したものとみなす制度をいう。

そして、事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合、事業場外労働
に従事した労働者は、その実労働時間にかかわらず、
(1)所定労働時間
(2)通常必要とされる時間
(3)労使協定で定めた時間労働したもの
とみなされる(労基法38条の2第l項・2項)。


2.事業場外労働のみなし労働時間制の適用要件

事業場外労働のみなし労働時間制は、
(1)労働者が事業場外で業務に従事したこと
(2)(1)の労働時間を算定し難いこと
を要件として適用される(労基法38条の2第l項本文)。

そして、(1)の要件については、使用者の具体的な指揮監督の及ばない場所
で業務に従事したといえるか否かにより判断され、労基法の適用単位、労
使協定の締結単位、または就業規則の制定単位である事業場とは必ずしも
一致しない。

そのため、例えば、労基法の適用単位としての事業場(労働者が普段出勤
する事業場とは異なる支社など)に出勤したとしても、使用者の具体的な
指揮監督が及ばない場合には、「事業場外で業務に従事した」といえる。
また、出張などの臨時的な業務に従事した場合だけでなく、新聞記者や営
業社員のように恒常的・常態的に外勤業務に従事した場合であっても、使
用者の具体的な指揮監督が及ばない場合には「事業場外で業務に従事した」
といえる。

次に、上記(2)の要件については、事業場外で業務に従事する場合であって
も、労働時間の算定が可能である場合には、事業場外労働のみなし労働時
間制の適用はないものとされている。

行政通達では、以下の場合には使用者の具体的な指揮監督が及んでいるた
め、労働時間の算定が可能であるとして、事業場外労働のみなし労働時間
制の適用はないとの例示がなされている(昭63.1. 1 基発1.婦発1 )。

(1)何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中
 に労働時間の管理をする者がいる場合

(2)事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用
 者の指示を受けながら労働している場合

(3)事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた
 のち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合


<一部事業場内労働の場合の算定>

みなし労働時間制による労働時間の算定の対象となるのは、事業場外で業
務に従事した部分であり、労使協定についても、この部分について協定する。
事業場内で労働した時間については別途把握しなければならない。
そして、労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労
働時間制によって算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握し
た事業場内における時間とを加えた時間となる。


<事業場外労働が法定労働時聞を超える労使協定を締結した場合>

「事業場外労働に関する協定届(様式第12号)」と「時間外労働・休日労
働に関する協定届(様式第9号)」 (二つを合わせた様式第9号の2もあり)
を管轄の労働基準監督署長へ届け出ることが必要である。
(労使協定を締結する場合は、事業場外での1日当たりの時間数が対象。)
資料出所:厚生労働省長崎労働局「労働基準法のあらまし」(平29.10.1)


(中川コメント)

労働者が事業場外労働に従事し、その労働時間の算定が困難である場合に、
労働者が一定時間労働したものとみなす制度が事業場外労働のみなし労働
時間制度です。
現在はスマホ等の普及が進み、労働時間の把握が困難な状況はほとんどない
と推測します。

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    編集後記      
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誰だって、ほめられたい

[スティーヴン・キング] 小説家

かつてトレーラーハウスで、教師と洗濯屋のアルバイトで食いつないでい
たスティーヴン・キングは、ほとんど売れない小説を書きながら生活して
いました。

ある日、超能力を使う少女のストーリーを思いつきますが、いまひとつ面
白くならず、3ページだけ書いて捨ててしまいます。次の日、家に帰ると、
その原稿を持った妻タビーが笑顔でこう言いました。
「この作品には何かがあるわ。行けるわよ!」彼女はゴミ箱から原稿を拾い、
シワを伸ばして読んでいたのです。

この作品『キャリー』は映画化もされるほどの大ヒットとなりました。
偉大な人物のそばには必ずタビーのような人がいるものです。人をほめる
ことで未知の能力を引き出しましょう。

(「人生はワンチャンス」水野敬也、長沼直樹著 文?社刊より)

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