2025年1月8日水曜日

【相馬一進】マイクロソフトに学ぶ現状維持の罠

カテゴリー:ビジネス
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以上、お知らせでした。


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こんにちは。
相馬一進(そうまかずゆき)です。


今回は、
「なぜ退職者2万人も…? マイクロソフトの
老害CEOによる暗黒時代」の第3回目です。


これまで、マイクロソフトの元CEOである
スティーブ・バルマーの愚かなエピソードと、
失敗から得られる教訓を解説してきました。


今回は、さらに2つの重要な教訓を紹介します。


また、バルマーの失敗から読み解く
マーケティングの本質を、
大学の論文をもとに解説します。


彼のズレた経営判断は、
実は多くの経営者がやってしまいがちなミスです。


ぜひ最後まで読んで、バルマーから学べる教訓を
あなたのビジネスに活かしてください。


(第1回目と第2回目のメールも、
まだ読んでいない場合は読んでみてください)


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 『 なぜ退職者2万人も…? マイクロソフトの
 老害CEOによる暗黒時代(第3回目)』
 マイクロソフトに学ぶ現状維持の罠

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これまでに、マイクロソフトの2代目CEOである
スティーブ・バルマーの愚かなエピソードと、
失敗から得られる教訓を紹介してきました。


それにしても、スティーブ・バルマーは
なぜ同じような判断ミスを
重ねてしまったのでしょうか?


その答えは、彼の「強すぎる競争心」と
「現状維持を好む心理」です。


この2つを踏まえて、
私たちが得られる大きな教訓があります。


1つは、競争心をコントロールすること。


そして、もう1つは現状維持をしないことです。


この2つの教訓は、
ビジネスにおいて非常に重要です。


あなたのビジネスにも活かせる形で
それぞれ解説しますね。


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教訓1.競争心をコントロールする
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スティーブ・バルマーは、
ライバル企業に対して強い競争心を持ち、
たびたび攻撃的な発言や行動を取っていました。


彼の競争心が強いエピソードは、
枚挙にいとまがありません。


・リナックスという競合のOSに対して、
 「ガン細胞」と呼ぶ


・「iPodユーザーは泥棒だ」
 「iPhoneを買う奴は愚かだ!」などと
 ライバル企業のユーザーまでも敵視する


・市場での競争を「ジハード(聖戦)」と呼ぶ
 ※ジハードとは宗教学の概念。
  異教徒を殺して滅亡させようという思想


・「スタックランキング」と呼ばれる
 社員に順位をつける人事評価制度を導入し、
 評価が低い人を「必ず」クビにする


怖すぎですよね?


ちなみに、まるでデスゲームのような
「スタックランキング」制度は、
スティーブ・バルマーがCEOから退いて
すぐに撤廃されました。


その結果、マイクロソフトの業績は
すぐに右肩上がりになっています。


当たり前でしょ!(笑)


しかし、なぜ過度な競争心が、
経営に悪影響を及ぼすのでしょうか?


これについては、ペンシルベニア大学の
J.スコット・アームストロング名誉教授の
論文が参考になります。


興味があれば読んでみてください。


Competitor Orientation:Effects of Objectives and Information on Managerial Decisions and Profitability
https://faculty.wharton.upenn.edu/wp-content/uploads/1996/01/120.-JSA.-Competitor-Orientation-Effects-of-Objectives-and-Information-on-Managerial-Decisions-and-Profitability.pdf


この論文では、主に2つの研究が紹介されています。


1つ目は被験者1,016人を対象とした実験で、
「競合他社に勝ちたい」という強い競争意識が
企業の利益にどう影響するかを調べました。


その結果、
競合他社に勝つことにフォーカスした被験者は
会社の利益が減る傾向がありました。


理由は、自社の利益を犠牲にして
競合他社のシェアを奪おうとするからです。


2つ目は、20社のアメリカ大企業を
50年間にわたって調査したフィールドスタディです。


50年って、かなり長期間ですよね?


その結果、競合他社より高い市場シェアを
目標とする企業は、収益性が低く、
失敗率が高いことが判明しました。


つまり、競争相手よりも
自社の利益にフォーカスする方が、
長期的に成功できるということです。


多かれ少なかれ、私たちには競争心があります。


ですが、その競争心に
突き動かされてはいけないのです。


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教訓2.現状維持をしない
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iPodやiPhoneが発表されても、
バルマーは現状維持をしたため
マイクロソフトの成長は停滞しました。


さて、あなたは
「現状維持バイアス」という言葉を
聞いたことがありますか? 


簡単に言えば「変化を避けて
現状のままでいようとする心理」のことです。


この概念は、1988年に初めて提唱された概念です。


提唱したのは、ハーバード大学の
リチャード・ゼックハウザー教授と、
ボストン大学のウィリアム・サミュエルソン教授です。


英語の論文なので、私が要約して解説します。


もし詳しく知りたい場合は、読んでみてください。


Status Quo Bias in Decision Making
https://scholar.harvard.edu/files/rzeckhauser/files/status_quo_bias_in_decision_making.pdf


この論文では、単に
「人は現状維持をしやすい」ということだけが
書かれているわけではありません。


「人はどういうときに現状維持しやすくて、
どういうときに現状維持しにくいか」も
書いてあります。


ここが、この論文の本質で
非常に重要な4つのポイントがあります。


今から紹介するのでしっかり意識してください。


1.好きでないと現状維持しやすい
2.選択肢が多いと現状維持しやすい
3.重要な意思決定だと現状維持しやすい
4.情報が不確実だと現状維持しやすい


順に解説しますね。


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1.好きでないと現状維持しやすい
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たとえば、あなたがラーメン好きだとしましょう。


もし、自宅の近くにラーメン屋ができたら
すぐに行きたくなりますよね?


このように、私たちは好きなことだと
フットワークが軽くなって、現状維持をしにくいのです。


逆に、あなたがラーメン好きでなければ
自宅の近くにラーメン屋ができても
「へえ、そうなんだ」と感じるだけで、
特に行動しないはずです。


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2.選択肢が多いと現状維持しやすい
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選択肢が少なければ少ないほど、
その中から選ぶのが簡単ですよね? 


そのため、現状維持をしにくくなります。


たとえば、あなたがお昼にレストランに入ったとします。


ランチメニューが2種類しかなかったら、
すぐに決められますよね。


逆に、メニューが100種類もあったとしたら
決めるのに時間がかかるでしょう。


それと同じで、人は選択肢が多ければ多いほど
決めるのに時間がかかり、
結果的に現状維持しやすくなるのです。


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3.重要な意思決定だと現状維持しやすい
===================


たとえば、あなたが100円ショップで
何かを買う場合は、すぐに決められますよね? 


だって、仮に失敗しても
たった100円の損失だからです。


つまり、失敗してもダメージが少ない場合は
現状維持しにくくなります。


逆に、家や自動車などの高額な商品を買う場合
決めるのが大変ですよね。


意思決定の重要性が高くなると、
失敗した場合にダメージが大きいので
人は現状維持しやすくなるということです。


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4.情報が不確実だと現状維持しやすい
===================


情報が確実な場合、すぐに決められます。


すぐに決められるってことは
現状維持しにくくなるってことですよね。


逆に、不確実な場合は現状維持をしやすくなります。


たとえば、あなたが
転職を考えている会社員だったとしましょう。


全く知らない業界への転職は、
決断するのに時間がかかります。


つまり、現状維持バイアスが働きやすいのです。


要約は以上です。


この論文から私たちが得られる教訓は、
あなたが現状維持をしにくくなるためには、
この4つを意識すればよいということです。


たとえば、情報が不確実だと
現状維持しやすくなるため、
詳しく調べてみるなどです。


また、変化が起きたときには
常に変化を受け入れ、その方向に進むことです。


言い換えると、「現状維持は間違いだ」と
考えることが重要なのです。


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「なぜ退職者2万人も…? マイクロソフトの
老害CEOによる暗黒時代」の第3回目は以上です。


あなたも、スティーブ・バルマーのように
過度な競争心や現状維持バイアスにとらわれないよう
気を付けてください。



相馬一進



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